外債投資の基本
外債投資を始めるには
外債のリスクとリターン
外債のリスク
為替変動リスク
外債⇒外貨建て債券の事です。つまり外貨に投資するわけですね。
そこで問題になるのが為替の変動ですね。
よくニュースで言ってます。「今日の東京為替市場は10銭円高の・・・」てね。
この事です、毎日為替市場は変動してますね。
ある日のAさん
1ドル=100円で1000ドル分のドル紙幣に両替しようと思います。
いくら必要でしょう?
簡単ですね、1000×100=100000円です。
つまり10万円で1000ドルと交換したわけです、1ドル=100円でね。
Aさんは1000ドルのお金を持っています。
アメリカに行こうと思いましたが、都合が悪くなって行けなくなりました。
折角両替したドルですが、日本国内で使える場所は少ないです。Aさんの近所では
使える所が無かったので止む無くまた円に戻すことにしました。
以前両替をした際は1ドルが100円でしたが、現在は1ドルが120円になっているよ
うです。
つまり、今両替してドルを円にすると、
1000×120=120000円となりますね。
Aさんは20000円儲かったわけです。
ここではたまたまドルを購入した時よりも円安になったので円から見た損益では
儲かった事になります。逆に円高で両替すると損となります。
外債投資も基本的に一緒です。ただ、外債ですと債券に投資するので、実際には
外債投資において最も高いリスクは事実上、為替変動になります。
本当は信用リスクなんですけど、それは投資対象によりますので、一般的な事で
申し上げると為替リスクになります。
米ドルは世界の基軸通貨と言われています。米ドルが通貨の基本となっていて、
大抵の通貨は、1$=〇〇と言った具合に示されます。
為替と言うのは自国の通貨が他国の通貨とどれくらいで交換できるかを表している
事になります。
そして為替は様々な要因で日々変動します。
主な要因としては次にあげるような事があります。
・経済的要因
・政治的要因
・投機的要因
・テクニカル的要因
まず、経済的要因から解説します。
それぞれの国によって景気の好不況の度合いは違ってきます。
よく、経済の基礎的要因と言って横文字でファンダメンタルズと言っています。
この経済の基礎的要因が良い国は景気が良い事になるので、一般的には金利が上昇
しやすくなります。
金利が上昇すると、他の国の金利が上昇しなければ、金利差が生じます。
お金は、一般的に金利の高い方へ向かいます。
なのでファンダメンタルズの良好な国の通貨は強くなる傾向があります。
別の言い方をすれば、景気が暫く良いのであればそこで商売をすれば儲かる確率は
高くなります。そうするとその国に資金が入りやすくなりますね。
不況の国でやるよりも格段に成功しやすいですから。
また、国際収支や経常収支と言った収支面でも変動します。
トルコのように、万年経常収支が赤字の国は、言ってしまえば貿易などトルコ国民
が色んな形で働いた結果、お金が歩留まりしていなくて国外に流出してしまってい
る事を意味します。
そのような国の通貨を積極的に買いたいと思わない事から通貨安に拍車がかかる事
態になりがちです。
他にも経済指標と言われる統計がよく発表されますが、それらの数字にも影響を受
ける事になりますね。
次は政治的要因についてです。
これはまぁ感覚的に分かりやすいと思いますが、簡単な例で行くと、戦争などです
ね。現代でも通用するかは定かではありませんが、以前は「有事のドル買い」とい
う言葉がありました。
米国が断トツで世界の1強だった頃、戦争が起これば、基軸通貨である米ドルに資
金が集まりました。最も安全だからです。不思議と紛争が終われば有事で買われた
分が剥がれて元通りに収まるんですけどね。それだけお金は大事な物であり、何も
手を打たなければ大きな損失となるんですね。
最近の動きでは、中国の元の代わりに日本円が代替え通貨のように買われたことも
ありましたね。まだ流通量が少なく取引規制が今よりも強かった中国元について、
本来なら元が上や下へ動くはずが制約があって動かない、もしくはまとまった金額
を捌けないとなった時に日本円で対応するような動きもあったんです。
アジア通貨みたいな感覚だったようですが、実際には政治的要因ではなかったかも
しれませんけども、建前はそういった理由が語られました。
3つ目は投機的要因についてです。
投機的と言うのは、有名なとこで言うとヘッジファンドです。FXなんかも金額が
巨額になれば市場を動かす要因になり得ます。どちらにしてもその資金力でもって
一時的にどこかの国の通貨を暴騰させたり、暴落させたりすることによって暴利を
貪ろうとする輩が激しい売買をすることを言います。
もう20年くらい前になりますが、アジア通貨危機がありました。
主に米ドルとペッグ制を敷いていた国の通貨に対して、金利差や国情の相違点を突
いて大量の資金を投入し一気に通貨を下げさせました。
ヘッジファンドの連中はデリバティブ取引を使うので元手の何十倍、何百倍と言う
資金力で相場を一気に動かしてしまいます。その力は強大で、一国の中央銀行の資
金力をもってしても歯が立たない程でした。
現代ではそこまでは出来ないと思いますが、所々ではそのような資金力で動かして
いると思われる取引はあると思います。
最後はテクニカル的要因です。
最近ではこちらの影響の方が幅を利かせてるかもしれません。
特にFX取引で、資金を何十倍にも膨らませて売買している人達の動きは、全部では
ないでしょうが、チャートをよく使っています。人によってどのようなチャートを
使うかは様々ですが、多分ほとんどの人が見ている有名なチャートは影響力が大だ
と思います。
もちろん、チャートと言うのは過去の値動きを時系列的に羅列しただけですので、
必ず過去がこう動いたから今回も同じように動くと決まっているわけではありませ
ん。むしろそれを逆手に取ってチャート通りに買った人が損させられると言うよう
な事も珍しくありません。
チャートを極めたと言っている人は、全てはチャートに現れるとして、否定派の話
など聞く耳を持ちません。それはそれでいいんですが、私は参考までに知っておく
程度が良いのかなと思っています。
これらが為替の変動リスクの主なものになります。
言われればそういう事かと思っていただけるリスクばかりだと思います。しかし、現
実はこれらが複合的に重なっているのでどちらがどっちの理由でと言う事が分からな
くなる事もあります。
例えば、金利が下がる見通しなのにその国の通貨が買われたりする事があったりしま
す。下がる方向なら売られるはずなのに通貨は買われてる、何故?となるわけです。
実際に本当に理由が無い時もあります。しかし、よくあるのが想定よりも下がらない
みたいとか、中銀がもっと先になるような見通しを語ったとかの場合です。
そういった事についてはよくアンテナを張って監視しておかないと混乱する可能性が
ありますね。
外国債券の価格変動リスク
ここからは、外国債券そのもののリスクについて説明いたします。
これは外国債券のみならず国内債券も共通なので、債券全般と言っていいリスクです
ね。
債券にも価格があります。
債券は国が発行すれば国債と言い、企業が発行すれば社債と言われます。
債券は発行する際に予め決める事柄があります。
・発行体
・発行額
・発行日
・償還日
・期間
・利率
・利払日
これらを取り決めた上で発行にこぎ着けます。
社債を例にとると、会社は事業を展開している中で資金需要が起こります。それが少
額ならば問題ないですが、高額だと銀行融資も簡単ではありません。そこで債券発行
か株式発行か銀行融資かでコストなどを考慮して決めます。
その時に債券を発行することが企業にとって合理的であれば債券発行となります。
その際に上記の条件を取り決めていきます。
何故この様な説明を始めにしたかと言いますと債券は元々湧いて出たものではないと
言う事と、価格の話をする前にこうやってそれぞれの債券は条件決定されると言う事
を知っておいて欲しかったからです。
さて、こうして債券が発行されると、債券の条件と言うのは基本的には償還まで変更
されません。
しかし、世の中の情勢は刻々と変化していきますよね。
そうすると債券は発行時点の金利情勢などを勘案して決められるので、時間が経過し
基本的な経済情勢が変化するとそれに対応された価格にならないと時世が反映されま
せんね。債券の条件は変更できないので、債券の価格で帳尻を合わせる事になるわけ
です。
ここも簡単な例で説明します。
償還まで2年の債券があったとします。
利率は1%で債券単価は100でした。
この時この債券の利回りは1%ですね。
ここまではよろしいでしょうか?
さてこの債券を購入して丁度1年が経過しました。
すると景気が良くなっていたので市中の金利は上昇し、1年物の金利は2%になって
いました。
購入した債券は利率1%の条件です、条件は変わりませんね。でも同じ1年間これか
ら保有するなら、1%よりも2%の方がいいに決まってますよね。他の条件も同じな
らそういう事になります。と言いますか他の条件が同じなら、利回りも同じにならな
ければおかしいですね。なので債券価格が変わってくるんです。
この条件であれば、購入済の債券の価格が100から99になれば、ここで購入された方
にとってはどちらも同じ利回り計算になり不平等ではなくなりますね。
債券は償還すると額面で償還します。この債券も99で購入したものは償還で100にな
って返ってきます。利率の1%と償還時に元本が増えて返ってくる分が1ですね。
なので利回りは2%になります。
ここまでよろしいですか?
債券は発行条件に対して市中金利が変動していった場合はその分だけ修正的に価格が
変動します。
価格変動リスクについてはよろしいですか?
債券の信用リスク
信用とは
債券の信用とは、主に格付の事です。
格付とは
格付け機関というところがあって、国や会社と言った債券の発行体の財務状況などを
調査し、それぞれの内容に変化があったか、何かありそうか、その企業などを取り巻
く環境に変化はないかとかを独自に調べます。その調査に基づき、格付会社ごとに決
めた方針に沿って格付を決めていきます。
そもそも格付とは、17世紀、大航海時代が出始めと言われています。当時はまだ船で
外国の地へ赴いていた時代で、欧州の王族や貴族は遠方にある開拓先の状況をよく知
りません。そこで巨額の資金をかけて冒険させるリスクを図っていたんです。
当時はたくさんの格付会社があったようですが、中にはいい加減な会社もあったそう
です。それが段々淘汰され現代では信頼できるほんの数社になってしまっているんで
す。
格付でよくあるパターンにAAAとか見た事ありますよね。
トリプルエーと言って、Aが3つ並びます。
有名な会社でS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)社を例に挙げます。
AAA :債務者の能力は極めて高い
AA :債務者の能力は非常に高く、最上位との差は小さい
A :債務者の能力は高いが、上位に比べ環境変化の影響を受けやすい
BBB :財務内容は適切だが、環境変化の悪化による債務履行能力が低下しやすい
BB :投機的、債務不履行になる蓋然性は低いが脆弱性もある。
B :現時点では債務履行できるがBB]よりも蓋然性は高い。
CCC :債務不履行になる蓋然性は現時点で高く、状況次第では債務不履行も。
CC :債務不履行になる蓋然性が現時点で高い。不履行は事実上確実。
C :債務不履行の蓋然性が非常に高い上、最終的な回収見込みが低い。
D :債務の支払いが行われていないか、想定した約束に違反がある。
倒産申請などの手続きが取られ、債務不履行が事実上確実。
といった具合です。
問題はこれらの信ぴょう性ですね。
いくら格付しても、実際の状況と格付した内容に相違が大きければ、格付会社は当然
信用されませんね。ですから、格付会社も事細かにその内容について調査します。
それから、一般的にBBBとBBの間、もう少し詳細に言うとBBB-とBB+の違いは大き
いです。
BBB-以上は「投資適格」と呼び、BB+以下は「投資不適格」と呼びます。
どこのレベルとも同様な差になっているのですが、ここで投資適格かそうでないか呼
び方が変わります。
イメージが大分違いますね。
でもBB格になったからと言って即座に債務不履行になるわけではありませんのでご心
配なく。
このようにして格付は債券価格に大きく影響を及ぼします。
格付が高いと言う事は事実上財務状況が良好であり、債務の返済能力が高い事を意味
します。一般的に資金を融資してもらう際に、信用力が高い企業や人ほど、多くの資
金を借りれますし、また金利も低いですよね。格付けはその目安になるんです。
と言う事は、例えば、
最初に発行した時点ではAA格債として発行された債券があったとします。
しかし、業績が悪化したため財務状況が若干ですが悪化してしまいました。
格付機関がそこを突いて格付をワンランダウンさせました。
となった場合を考えてみます。
まぁAA-(マイナス)としましょうか。
そうするとAAの時に比べて1ノッチ格下げされた分だけ、債務不履行になる確率は高
くなりました。そうするとAAでの債券利回りよりも価格が下がる事によって利回りが
上昇する事になります。
ここ、分かりますか?
債券の発行条件は変更できませんので、価格で1ランク下の利回りと同じになるよう
に価格調整されるんですね。これは需給関係によってまるで自動的になったかの様に
価格は下がります。逆の場合も同じです。格上げがあったら上の格付の利回りになる
べく価格が上がります。そうやって格付に見合ったように変動するんです。
そして信用リスクの最大の問題は倒産です。
株式にも言える話ですが、購入した社債などの発行会社が倒産などをした場合は、残
念ながら元本ごと返ってこなくなります。これが一番痛いです。
債券の良いところの1つとして、償還になると額面で返してくれます。
債券は普通額面を100として価格を表します。
仮に購入時に額面100の物を100で勝ったとすると、償還までの途中においては様々な
理由によって債券価格は上下しています。
それこそ、格付の変更や金利の変動の影響を受けるからです。
ですが、償還さえすれば途中が幾らであっても元本ベースは返ってくるんです。
しかし、万が一、発行体が倒産やもしくはそれに近い形を取った場合は別です。
元本が丸ごとダメになります。
返ってきたとしても二束三文です。
なので、やられが最も大きくなります。元本全部ですから、例えば額面1000万円なら
1000万円全部損となります。
これは痛い!痛すぎる!
なので債券投資では最も気を付けなければならない事項なんです。
まぁあんまり無いですけどね、そうそう倒産と言うのは・・・
無いだけに購入する際には気に留めておいていただきたいです。
外債だと、高い金利とかに釣られて格付を見落とす事もあるし、買ってからも格付け
が変化するんで気を付けたいですね。
あとは、新興国系の外債にはたまにあるリスクです。
カントリーリスク
これは先進国にも無いわけではありませんが、頻度としては新興国が多いです。
要は発行体のある国の政情不安や急激な経済の変化などによって、債券価格が大幅に
下落することを言います。先に格付の説明をしましたが、国にも格付けがあります。
そこも確りと確認して投資をするようにしてください。
流動性のリスク
これも新興国に割合としては多い事例です。
債券市場自体の規模が成熟しておらず、売買そのものに難がある場合や、その債券の
発行量が少額であるために売買が成立しにくいといった事のリスクになります。
買ったはいいが、いざ換金しようとしたら買い手がいない。
これでは中々適正価格で売却することが出来ません。
もしどうしても資金化しようと思ったら、思わぬ下の値段で売却せざるを得ないとい
う事にもなりかねません。
流動性にも十分な配慮を購入する段階でしていただきたいですね。
今回は外国債券のリスクの部分について説明しました。
次回は外国債券の投資魅力やメリットについてお話ししたいと思います。